■磐田浮上のキーマンは“伸びしろ無限”の17歳

 9連戦の2試合目となった栃木戦は、浮上へのきっかけをつかむためにも勝点3がほしいゲームだった。杉本の抜けた1トップには、5節に続いて17歳の俊英FW後藤啓介が入った。

 序盤は栃木のハイプレスに苦しんだ。自陣でボールを失うこともあったが、10分過ぎから盛り返す。そのままの流れで、16分に先制した。2列目左サイドで起用されたMFドゥドゥが、サポートしたMF金子翔太につなぐ。金子は左ポケットに侵入してクロスを入れると、ニアサイドで後藤がつぶれながらフリックし、背後からMF松本昌也がプッシュした。

 その後も磐田はゲームを掌握する。後半に入った65分には、左SB松原后が利き足ではない右足でミドルシュートを突き刺す。松原は清水在籍時の2019年以来のJリーグでの得点だ。

 MF遠藤保仁とMF針谷岳晃のダブルボランチが中心としたゲームコントロールは、磐田のストロングポイントである。2対0は不安定なスコアとも言われるが、「勝つために点を取らなければいけない」とか「1点を守らなければいけない」といったストレスがなければ、落ち着いてゲームを運ぶことができる。2対0のまま試合を締め、勝点3をつかんだ。今シーズン初のクリーンシートも達成した。先行逃げ切りの勝ちパターンに、持ち込むことができたのだった。

 今後へのキーマンをあげるなら、やはり後藤になるだろう。1トップのポジションではFW大津祐樹も起用されているが、191センチの高校生Jリーガーは、もはやチームに不可欠な存在となっている。

 栃木戦は相手CBの岡崎亮平と激しくバトルした。前節の清水戦後に「めちゃくちゃ倒されましたし、身体も全然弱いので、そこは課題です」と話していたが、17歳は伸びしろ無限である。試合を重ねるごとに、ポストプレーがレベルアップしていくと期待できる。

 4月1日の次節は、アウェイの大分トリニータ戦だ。前節の大宮戦でシーズン初黒星を喫した大分だが、試合後の下平隆宏監督は「0対3ということで、ここまですっきり負けると切り替えるしかない。引きずらずに次の試合へ向かっていくだけ」と話した。試合内容は悪くなかっただけに、大きな修正も必要ない。

 大分にとっては連敗を避けたい一戦で、磐田は今シーズン初の連勝を目ざす一戦である。J1昇格候補の激突は、7節の大一番である。

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