大学サッカーは現在の日本サッカー界において、重要な選手育成の場だ。かつては韓国でも大卒の名手が多くいたが、最近では様相が変わっている。3月21日の両国の大学選抜チームの対戦から、サッカージャーナリスト・後藤健生が現状を読み解く。
■初めての試み
今回の日韓大学サッカーでは、初めての試みとして、男子の定期戦の前日に「日韓女子定期戦」と「日韓新人戦」も開催された。前者は両国の大学女子選抜チーム同士、後者は両国の新人戦優勝チーム同士の対戦だ。
新人戦では筑波大学が韓国の仁川大学に5対1で圧勝した。
筑波大学は現在の日本で唯一の国立の強豪大学であり、前身の東京高等師範学校として日本で初めて本格的にサッカーに取り組んだ、いわば“日本最古”のサッカーチームだ。それに対して、仁川大学も国立大学。しかし、こちらは大学としても新しい新興チームだった。
試合は前半の22分に筑波大学が右CKから沖田空がヘディングでつなぎ、半代将都が決めて先制。43分にはその半代が相手GKにプレスをかけてボールを奪い切って2点目。そして、後半には仁川大学に退場者も出て、一方的な試合になってしまった。
いずれにしても、チーム力に差があったことは事実。とくに筑波大学の組織的な守備が完全に機能したことによって、仁川大学の攻撃はほぼ完封されてしまった。