■最終ラインの2人
その“急造最終ライン”で、うれしい誤算もあった。復帰したばかりの田邉秀斗が好プレーを披露。縦パスを次々と通したほか、積極的に攻撃や組み立てに絡んでみせたのだ。指揮官も、「非常に良かった」と話しており、離脱者が特に相次いでいるCBに、心強い選手が加わることとなった。
また、長期離脱していたDF登里享平がフル出場。沖縄キャンプで得点を決めただけでなく、ビルドアップで“司令塔”としての役割を果たしていた左SBがチームに戻ってきたことは、このうえなく大きい。実際、登里が入ることで今までとは違った流れも見られるようになっていた。
試合終盤に不運な形で得点が認められない場面もあったが、チームとしては着実に前進していた。今後、負傷者がさらに戻ってくる予定で、さらに、現在のメンバーで代表ウイーク中にさらに積み重ねをすることもできる。今回の日本代表に一人も選出されなかったことをあえてプラスに捉えて、この期間を反転攻勢に向けて有効に使ってみせる。
(取材・文/中地拓也)