後藤健生の「蹴球放浪記」第152回「台北の地下鉄は4つの言葉でアナウンス」の巻(1) 「次は大阪でっせ。大阪でごわす」と続くような感じ?の画像
台北で行われた東アジア選手権予選大会のADカード 提供/後藤健生

 世界に出てみると、日本では想像できないことが多い。違う言語でもなんとか通じたり、1つの国で数か国語が使われていることもある。蹴球放浪家・後藤健生は、1試合で21得点が生まれる国際試合を目撃した。百聞は一見に如かず。何事も自分で体感しなければ分からないことがある。

■言語の互換性

 前回は、ヨーロッパには「スイスのドイツ語」とか「ルクセンブルク語」のような様々な言葉がある、というお話でした。

 たとえば、スペインでもマドリードではカスティージャ語、バルセロナではカタルーニャ語が使われていますし、ア・コルーニャ(カスティージャ語表記なら「ラ・コルーニャ」)など西北部にはポルトガル語に近いガリシア語があります。そして、他のヨーロッパの言語とはまったく異なった系統の謎の言語バスク語もあります。

 バスク地方の主要都市サン・セバスティアンのレアル・ソシエダに移籍した久保建英君は、もうバスク語も少しは覚えたのでしょうか? ちなみに、サン・セバスティアンという都市はバスク語では「ドノスティア」と言います。

 スペイン人とポルトガル人、イタリア人はお互いに自分たちの言葉を話せば、意思疎通が可能です。イタリアのテレビを見ていると、アルゼンチン選手にイタリア語でインタビューして、アルゼンチンの選手がスペイン語で答えているような場面をよく見ます。視聴者も含めて、それで通じるのです。

 東欧にありながらラテン系言語であるルーマニア語も、スペイン語話者には理解可能だそうです(昔、僕がスペイン語学校に通っていた時のコロンビア人の先生はルーマニアに留学したことがあったのですが、ルーマニア語は最初から理解できたそうです)。

 ロシアによる侵略戦争に揺れているウクライナではウクライナ語とロシア語が話されていますが、この2つの言葉も互いに理解は可能です。ヴォロディミール・ゼレンスキー大統領はもともとウクライナ東部で生まれたために母語はロシア語で、大統領に就任してからウクライナ語を勉強したそうです。

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