■攻守の強化の循環
湯浅 そうして「国際化」とともに今大会キーとなったのが、「守備」なんだよ。
大住 なるほど。
湯浅 モロッコやクロアチアといった国の優秀な選手が最高のリーグでプレーして鍛えられている。守備の最重要点を、私は「最後の半歩」という言葉で表現をしている。
大住 「もう半歩踏み込め」ということ?
湯浅 いや、物理的な話じゃない。次に相手はどこを狙ってくるか、最終勝負のときにどのスペースにやってくるか、それをちゃんと自分でイメージできるか、それが「最後の半歩」。僕は「イメージング」とも言うんだけど。
大住 攻撃と守備は表裏一体のものだからね。守備が強くならなければ攻撃は進化しない。攻撃が進化しないと守備も強くならない。
湯浅 そのとおりだよ。ブラジルが何でいちばん強いのか。あの守備はすごい。だから当然攻撃もすごい。最高の選手たちが集まる最高のリーグでは、何よりも守備が鍛えられる。そして「高次平準化」という、これはマーケティング用語なんだけど、そういう現象が起こる。ワールドカップの歴史をたどってみると、近年はどんどん「こんな弱いところが」というチームがしっかりとしたサッカーをするようになっている。
大住 モロッコとクロアチアはその好例だね。さっきの「国際化」という話だけど、子どもたちもあるけど、コーチたちのもっている情報も、その量や伝わってくる速さが現代はすごい。時代遅れのサッカーをやってるチームなんて、ワールドカップではもう見られない。
湯浅 それが国際化の最大の貢献。日本も例外ではないよ。