■最初のキーワード「国際化」

大住 湯浅さん、ワールドカップは全試合見たよね。

湯浅 もちろん。

大住 何を感じた?

湯浅 最大のベースは「国際化」。それがひとつ目のキーワード。

大住 モロッコがアフリカ勢として初めて準決勝に進んだよね。

湯浅 テレビやいろいろなメディアによって、世界中の子どもたちがイメージトレーニングできる素材を見ることができるようになった。攻守のハードワークをいかに主体的にさせるかってことを含めて、「こういうプレーをするためには、こうでなければならない」ということが目からはいるようになったのは、非常に大きい。

大住 サッカーはイマジネーションのスポーツだからね。創造的なプレーもあるかもしれないけど、99%はこれまでに見たものから生まれている。

湯浅 「クライフ・ターン」がそうだよね。1974年のワールドカップの1か月後には、器用な子たちはみんなまねしてた。それまでは足の裏を通すなんてことは誰も考えなかった。

大住 子どもたちにはいる視覚情報が増え、それで上下の差が縮まった?

湯浅 そのとおり。そして「国際化」のもうひとつの側面が、上位に行ったチームの多くの選手の多くが「フットボール・ネーション」と言われる国の最高のリーグでプレーしているということ。イングランド、スペイン、ドイツ、イタリア、フランスポルトガル。少し残念なことではあるけれど、カネが回るところでしかサッカーの質は上がっていかない。そこに優秀な選手が集まって鍛えられるので。

大住 たしかに、残念だけど事実だね。

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