「正確性」と「試合の流れ」のどちらを選ぶべきなのか【サッカーとテクノロジーの正しい付き合い方を考える】(1)

■問題は「時間」

　体の各部位の位置を検知してラインを引くことによって、たとえば腕とか頭とかがラインを越えていることを、従来の２Ｄラインよりも正確に判断することができる“最新兵器”である。

　ただし、佐藤氏が語ったように（判定はより正確に行えるが）時間がかかる……。その点をどう考えるのか、それが問題なのだ。

　時間がかかるのは、ラインを引く作業を人間が行わなければならないからである。

　そこが、ワールドカップで採用された半自動オフサイド判定との違いである。ボールがプレーされた瞬間を判断し、その時点での選手の各部位の位置を検知して、そのデータを用いてラインを引くのだから、多少の時間がかかるのは間違いないし、そこに人間の判断が入る要素がある（ただし、ワールドカップで使われた半自動判定でも、人間が判断せざるを得ないことは多く、実際には喧伝されたほどＶＡＲの要する時間が短縮されたという印象はなかった）。