■歴史あるスタジアム

 スタジアムが完成した当時はドイツ領だったので、1930年にはドイツ代表対ノルウェー代表の国際試合が初めてこのスタジアムで行われました。そして、1935年にはドイツ対ポーランド戦も行われました(ドイツのホームゲームです)。

 ブレスラウ市政府は1936年のベルリン・オリンピックのサッカー競技の一部をこのスタジアムで開催しようと考え、スタジアム名を「オリンピアシュタディオン」と改名しました。それで、今でもこのスタジアムは「スタディオン・オリンピスキ」と呼ばれているのです(ヒトラー総統はオリンピックの分散開催を許可せず、結局、ブレスラウ市の計画は実現しませんでした)。

 スタジアムでは、1950年5月にはポーランド領となってから初めてポーランド代表の国際試合(対ルーマニア)に使用され、1961年にはポーランド対東ドイツ戦も行われました(今度は、ポーランドのホームです)。

 その後、スタジアムは老朽化。1987年に最後の国際試合が行われましたが、対戦相手は1930年の最初の国際試合と同じノルウェーでした(ホームはポーランド)。

 つまり、「スタディオン・オリンピスキ」は2つの異なる国の代表がホームスタジアムとして使用され世界で唯一のスタジアムなのです。

 国が分離独立したために2つの国の代表が使用したスタジアムとした例はいくつもあります(たとえば、キーウのスタジアムはソ連とウクライナの代表がホームとして使用しています)。しかし、国境の変更によって2つの国のホームとなったのはヴロツワフのスタジアムだけなのです。

 だから、僕は絶対にそのスタジアムを見に行こうと思っていました。

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