■今季のJ2は「チャンスのシーズン」
J2リーグのチームにとって、2023年はチャンスのシーズンだ。2024年からJ1、J2、J3が20チームになることに伴い、J1昇格の道が太くなった。上位2チームが自動昇格するのはこれまでと同じだが、プレーオフにはJ1のチームが加わらない。3位から6位による昇格プレーオフの勝者が、J1入りを果たすことができるのだ。
「22分の3」を巡る争いで、FC町田ゼルビアは注目に値する存在だ。15位に沈んだ22年シーズンを受け、ランコ・ポポヴィッチ監督との冒険に終止符を打ち、ドラスティックにチームの陣容を変えた。
指揮官は黒田剛である。前青森山田高校監督、言わずと知れた高校サッカー界の名伯楽が、Jリーグの舞台にチャレンジする。ヘッドコーチには元サガン鳥栖監督の金明輝が就いた。
オフの補強は積極的だった。
J2での実績が豊富なポープ・ウィリアムと福井光輝が競り合ってきたGKには、ベガルタ仙台からストイシッチが加わった。202センチの高さを誇るセルビア人守護神は、昨シーズンのJ2で7試合に出場した。19歳のバーンズ・アントンを含めて万全の4人体制である。
DFラインには栃木SCからカルロス・グティエレス、ジェフユナイテッド千葉からチャン・ミンギュ、ブラウブリッツ秋田から池田樹雷人を獲得した。いずれもJ2で実績を積み上げてきたCBである。また、青森山田高校で黒田監督の薫陶を受けたCB藤原優大も、浦和レッズからの期限付き移籍で加入している。こちらは21年、22年にSC相模原で実戦経験を積んできた。
新加入選手が多いだけに、連携の構築はポイントになる。ただ、保有戦力は確実に充実した。深津康太と高橋祥平を加えたCBの陣容は、J2リーグ屈指と言ってもいいだろう。これだけの顔触れなら、3バックにも4バックにも対応できる。