スパイクに刻んだ“禁止用語”――ドルトムントで初公式戦を迎えたFWは「がんに向けたある言葉」をスパイク側面に乗せてピッチに立った! 使ってはいけない言葉にもかかわらず、「彼に完全に同意する」とファンが指示したわけの画像
スパイクの側面にある言葉が刻まれた(写真はイメージです) 撮影:中地拓也

 現地時間の1月22日、ブンデスリーガ第16節が行われた。この中で、クラブデビュー戦を飾ったある男のスパイクに視線が注がれた。

 ドルトムントがホームにアウクスブルグを迎えた一戦の後半17分、2-2という均衡した状況でエディン・テルジッチ監督は最初のカードを切った。FWユスファ・ムココを下げて、コートジボワール代表FWセバスティアン・ハーラーを送り込んだのだ。

 ハーラーは、昨年7月にこのクラブに加入した。フランスのオセールでプロ入りすると、その後、オランダ・ユトレヒト、ドイツ・フランクフルトプレミアリーグ・ウエストハム、オランダ・アヤックスと渡り歩いてきた。ブンデスはこれが2度目の挑戦で、移籍金に50億円と費やしたことも、背番号9を与えられたことも、クラブの期待の表れだった。

 しかし、そのデビュー戦は年をまたいでこの1月まで待たなければいけなかった。というのも、完全移籍が発表されてから12日後、精巣がんが判明したのだ。直後に手術を受けたものの、その後、再手術を余儀なくされる。デビュー戦に向けて動き出していただけに、その精神的ダメージは大きかった。

 それでも、背番号9は諦めなかった。その後、練習を重ねる様子を見せており、トレーニングマッチにも出場。そしてついに、そのデビュー戦を迎えたのだ。スコアは先述したように2-2のイーブン。勝利のための交代だった。

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