日本での監督ペペは読売クラブにきていきなり「JSLカップ」で優勝、JSLでもタイトルを守り、1992年には「ヴェルディ」となったチームを率いてJリーグ最初の公式戦である「ナビスコカップ」を制覇、天皇杯でも準優勝という好成績を残した。選手たちからも慕われていたが、残念なことに天皇杯決勝戦を前に退任が発表され、1993年元日の決勝戦終了とともに日本を去った。
もちろん私はこの監督がペレの「相棒」だったことを知っていたが、当時は試合後の記者会見以外では話す機会などなかった。ペレ自身の話だけでなく、サントスSCがなぜあんなに急に強くなり、世界を制覇したブラジル代表の骨格をなすまでになったのか、また、世界中を飛び回りながらブラジル国内の試合もこなしていた当時の殺人的な日程を、選手たちはどうこなしていたのかなど、じっくり話を聞いておくべきだった。そうしておけば、ペレの時代のブラジルのサッカーをもっと深く理解できたはずだ…。