サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。重箱の隅をつつくような、サッカージャーナリスト・大住良之による「超マニアックコラム」。今回は、「サッカーの王様」について。エピソードとともにペレを紐解いていく。
■その4 1000ゴール
ペレは生涯で1375試合に出場し、1284ゴールを挙げた。そのうちブラジル代表での得点が95(ブラジルでは地域選抜チームなどとの試合も含め97ゴールとしている資料もある)、サントスでの得点が1089もあった。サントスでの公式戦では659試合643得点だが、ペレを擁するサントスには世界各地からの招待が殺到し、それを受けての親善試合も多かったのだ。そうした試合が456試合、446得点にものぼっている。
だが世界を最も騒がせたのは、1969年11月19日、リオのマラカナン・スタジアムで行われたバスコダガマ戦で記録した1ゴールである。29歳になったばかりのペレが、プロ選手として初の「1000」ゴール目を記録したものだったからだ。ホームチームは、もちろんリオの強豪バスコダガマである。しかし強い雨のなかスタンドを埋めた7万5157人の観客の大半は、ペレのゴールを見るためだけにやってきていた。