大住良之の「この世界のコーナーエリアから」第103回「ペレに関する10のことがら」(前編3)日本で指揮を執っていた5歳年上の相棒の画像
ペレは世界中で愛された 写真:Panoramic/アフロ

 サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。重箱の隅をつつくような、サッカージャーナリスト・大住良之による「超マニアックコラム」。今回は、「サッカーの王様」について。エピソードとともにペレを紐解いていく。

■その4 1000ゴール

 ペレは生涯で1375試合に出場し、1284ゴールを挙げた。そのうちブラジル代表での得点が95(ブラジルでは地域選抜チームなどとの試合も含め97ゴールとしている資料もある)、サントスでの得点が1089もあった。サントスでの公式戦では659試合643得点だが、ペレを擁するサントスには世界各地からの招待が殺到し、それを受けての親善試合も多かったのだ。そうした試合が456試合、446得点にものぼっている。

 だが世界を最も騒がせたのは、1969年11月19日、リオのマラカナン・スタジアムで行われたバスコダガマ戦で記録した1ゴールである。29歳になったばかりのペレが、プロ選手として初の「1000」ゴール目を記録したものだったからだ。ホームチームは、もちろんリオの強豪バスコダガマである。しかし強い雨のなかスタンドを埋めた7万5157人の観客の大半は、ペレのゴールを見るためだけにやってきていた。

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