■結果を伴った好ゲーム
現在のベレーザは、今では日本代表の最大の得点源となっている植木理子や小林里歌子、ヤングなでしこで活躍した藤野あおばらの攻撃陣を擁しているが、得点力不足に悩まされている。長谷川のようなゲームメーカー不在の影響なのかもしれない。
実際、今シーズンのWEリーグでも、7試合を戦って11得点(7失点)とベレーザは点が取れていなかった。12月4日の第5節では、皇后杯準々決勝で対戦する広島に0対1で敗れ、また直近の試合(1月9日の第8節)でもマイナビ仙台とスコアレスドローに終わっている。
どちらも、チャンスはつかみながら決めきれないで勝点を落とす同じようなパターンの試合だった。
そんなベレーザだったが、皇后杯準々決勝では広島に対して3対0で快勝した。
3ゴールを奪えた“結果”も素晴らしかったし、そのゴール自体もパスをつないで崩したベレーザらしい美しい得点だった。
前半44分の先制点は左サイドでパスをつないだ後、小林がドリブル突破し、マイナス気味に入れたクロスに植木が合わせてDFのマークをはずして決めたもの。彼女のシュート技術の高さを見せつけたようなゴールだった。
67分の2点目はボランチの木下桃香が右サイドの藤野にロングレンジのグラウンダーのパスを通し、藤野が右45度から決めたもの。さらに、78分のダメ押し点は中盤で生まれたこぼれ球を拾った木下が縦に走る植木に絶妙のスルーパスを通して植木がフリーになったもので、パスの出し手も受け手もしっかりとイメージを共有した素晴らしい3ゴールだった。そして、木下というMFが何かをつかんで覚醒するきっかけとなるような2アシストだった。