■神戸が起こした「番狂わせ」
試合は浦和レッズがボールを握って攻撃する時間が圧倒的に多い展開になったが、前半の21分と23分に神戸がカウンターからチャンスをつかみ、ともに成宮唯が決めて2点をリード。後半に入ると浦和がさらに攻勢を強め、75分に安藤梢が決めて1点差としたが、残り時間を神戸が守り切って準決勝に駒を進めることになった(40歳になったベテランの安藤はチーム事情からこれまで経験のなかったセンターバックで起用されているが、難しいポジションを見事にこなしながら毎試合のように得点を重ねている)。
いずれにしても、シュート数では浦和が18本に対して神戸は7本。後半に限って言えば、浦和が9本、神戸が2本というかなり一方的な内容の試合だった。
浦和の楠瀬直木監督は、試合後に「悔しい」と言葉を発し、「どうしてこうなったか分からない」といった表情を浮かべた。
分かりやすく言えば、日本代表がドイツやスペインを破った試合以上に「番狂わせ」感が強い試合だった。
しかし、実はこの両チームは12月11日にもWEリーグの第6節で対戦しており、やはり2対1のスコアで神戸が勝利している。そして、この時も浦和がボールを握る時間が長く、シュート数では浦和が17本で神戸が8本。そして、やはりカウンターから神戸が2ゴールを決めて勝利しているのだ。
1試合だけなら、それは番狂わせが多いスポーツとして知られるサッカーらしい典型的なジャイアントキリング、つまり“サッカーあるある”ということですむかもしれない。だが、同じことが2試合連続して起こったということは、これは偶然の産物ではない。
浦和の弱点と、神戸の狙いどころがうまく絡み合ったことによる必然の結果ということになる。