■20年ぶりの南米勢優勝
南米大陸のチームが優勝するのは、2002年の日韓ワールドカップのブラジル以来20年ぶりだという。この間、南米大陸のブラジルで開催された大会でも開催国ブラジルは準決勝でドイツに大敗。決勝戦でも、メッシのアルゼンチンが延長戦の末に競り負けた。
競技力の面でも、また財政面でも、世界のサッカー界をリードするのはヨーロッパのメガクラブだ。南米大陸を含む世界中の優秀な選手のほとんどは、ヨーロッパのクラブで活躍しているのである。
その結果、FIFAが開催するクラブ・ワールドカップではヨーロッパのクラブの力は群を抜いており、南米の強豪クラブが守備的な戦いで何とか対抗しているのが現状。そして、過去20年間にわたってナショナルチームによる大会であるFIFAワールドカップでもヨーロッパがタイトルを独占していた。
つまり、このままヨーロッパと他の大陸の格差が開き続け、“ヨーロッパ独り勝ち”の時代が来るのかと思われていたのである。
とくに、2018年にヨーロッパ・ネーションズリーグが始まってからは、ヨーロッパ以外の国がヨーロッパのチームと親善試合を組むことすら困難となってしまった。ブラジルやアルゼンチンのような国でも、ヨーロッパのチームとの対戦ができないのが現状なのだ。
そもそも、戦力の高いヨーロッパ各国が切磋琢磨することによってさらに実力を上げているのだとしたら、他の大陸との戦力さはさらに拡大してしまう……。
カタール大会開幕前には、そんな懸念もあった。