■6人のフィールドプレーヤーを使いきれなかった

 今大会の日本はグループステージで交代選手が得点に関わり、5人の交代枠を有効に使ったと評価されたが、26人の登録メンバーで柴崎岳と町野は出場がなく、相馬、上田、山根視来伊藤洋輝はコスタリカ戦のみの出場に終わった。控えGKの川島永嗣シュミット・ダニエルはともかく、6人のフィールドプレーヤーをうまく使いきれなかったとも言える。

 勝負のかかったクロアチア戦で、交代カードを1枚残したまま終えたのは、日本の限界を示すひとつの側面だった。ルカ・モドリッチとマテオ・コヴァチッチを延長前半に同時に下げ、イヴァン・ペリシッチも延長後半に交代させたクロアチアとは対照的だ。

 改めて客観的な立場になれば、「W杯のベスト8入り」は相当にハードルが高い。しかし、実現可能な目標を設定するよりも、より高いレベルを追い求めることで、チームとしてのスタンダードは上がる。

「このままでは世界の8強には入れない」とか「ベスト8入りにはこういったものが必要だ」といったやり取りが日常になることで、自分たちの基準、つまりスタンダードを上げていくことができる。

 そうやって考えると、ベスト8入りを逃したからといって、カタールW杯の日本代表を否定しようとは思わない。ただ、世界のトップ・オブ・トップのとの比較で、決定的に足りないものがあったのも事実である。

(10)へ続く
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