■壁は破るためにある

 ちょっと古い話題だが、1994年のアメリカ大会では、本大会での勝利がまだなかったブルガリアがラウンド16でメキシコと対戦し、PK戦で勝利。さらに準々決勝でドイツを破って3位に入り、フリスト・ストイチコフは祖国の英雄になってしまった。

 たしかに、伝統国を破ってのラウンド16突破は非常に難しいことだが、けっしてそういう例が皆無というわけではない。

 日本がラウンド16突破に挑戦したのは今回で4度目だが、PK負けが2回。1点差の負けが2回。ほんのちょっとの幸運さえあれば突破していてもおかしくはなかったわけだ。

 2018年大会ではベルギーと大接戦となった。日本が2点をリードした後、69分にフェルトンゲンのゴールで1点差に追い上げられたのだが、フェルトンゲンのヘディングはシュートを狙ったものではなかったはずで、日本にとっては不運な失点だった。あの1点がなければ、日本が逃げ切れていた可能性はかなりあったはず。

「幸運頼り」では情けないというのは分かるが、「ラウンド16の壁は破れない」などと決めつける必要はないのではないか。モロッコにできたことが、日本にできないわけはない。

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