サッカー日本代表のカタールでの冒険はベスト16で終わった。グループリーグ3試合ではドイツとスペインを破るなど躍進を見せたが、それをベンチから見守っていたのがGKシュミット・ダニエルだ。一つしかない特殊なポジションのため、フィールドプレイヤーとはまた違った出場機会となる。
それでも、この本大会を前に行われた9月のドイツ遠征では活躍を見せていた。GK権田修一が負傷交代したアメリカ戦で途中出場すると、先発ではない難しい状況でも安定した好プレーを連発。続くエクアドル戦では、スコアレスの状況でPKをセーブしており、もともとあった先発待望論はさらに強まった。
そんな世間の空気とは対照的に、シュミットは別な気持ちを持っていた。
「予選を守り抜いたのは権ちゃん(権田修一)だったから、その2試合でどんなに感触が良くても試合に出れるとは思ってなかったです。」
さらに、「予選を守ってきてここに連れてきてくれた立役者なので、権ちゃんが守るのが必然」とも続けた。このように淀みなく話したのには、ワケがある。
「(W杯)最終予選のあのプレッシャーを経験して、そこを勝ち抜くために貢献しないと、W杯本番のプレッシャーというのは耐えられないんじゃないかなと思います」