■圧倒的に便利なメトロ
ドーハから50キロ北に離れた「アルバイト・スタジアム」へは、シャトルバスで行くしかない。メトロ「赤ライン」の終点ルサイル駅からシャトルで40分ほど揺られなければ(もちろん、実際には、ずっと片側4車線の道路を走るバスが揺れることもない)行くことができないが、それ以外は圧倒的にメトロが便利なのである。
そのうえ、大会観客のIDカードともいうべき「ハヤカード」の保持者は、期間中はメトロをはじめとした公共交通機関は一切無料なのだ。物理的な「ハヤカード」をもっていなくても、スマホの画面で見せられればそれでいい。試合日のスタジアム最寄り駅では「ハヤカード」のチェックさえ行われず、全乗客がフリーパスとなる。
取材記者やカメラマンには、町外れの巨大な博覧会場にあるメインメディアセンターまで行き、そこからスタジアムへのシャトルバスを好んで利用している人もいる。このバスの利点は、スタジアムのメディア入口まで運んでくれることにある。時にメディア入口はメトロ駅から見てスタジアムの向こう側にあるから、その面では便利だ。
しかし私は圧倒的に「メトロ派」である。私が宿泊しているところはメトロ駅まで徒歩数分のところなので、スタジアムに向かうときも、そこから戻るときにも、私はたいていメトロを使う。そして試合後には、どの会場でも、メトロ駅への観客誘導の見事さに感心するのである。
毎日2試合をはしごして取材し、メトロだけでなくさまざまな交通手段を駆使して会場間を移動、「スタジアム・アクセスマスター」になろうとしている後藤さんの「蹴球放浪記ドーハ版」を少し聞いてみよう。