■ドイツに続くか?
イングランド代表の変貌ぶりを見ていて、2010年頃のドイツ代表を思い出した。
20世紀後半のドイツは「武骨な」という表現がぴったりのチームだった。ドイツ代表にはいつの時代にもピエール・リトバルスキーやトーマス・へスラーのようなテクニシャンがいたが、全体としてはローター・マテウスとかハンスペーター・ブリーゲルといった労働者タイプの選手が多く、スケールの大きなパスを使って効果的に得点に結びつけはするが、けっして繊細さは感じられないチームだった。
だが、21世紀に入ってメスト・エジルとかサミ・ケディラとかマリオ・ゲッツェといったテクニシャンたちが主役となり、戦術的なサッカーでワールドカップを制覇してみせた。
当時、「ドイツ代表もずいぶん変わったな」と思ったのだが、カタール大会のイングランドを見ていてそのことを思い出したのだ。
イングランド以外のヨーロッパ勢は今のところ、あまりパッとしない。初戦でオーストラリア相手に4点を奪ったフランスも、2戦目ではキリアン・エムバペの2ゴールでなんとかデンマークを振り切ったものの苦戦を強いられた。
最近得点力不足だったスペインは、コスタリカからは7点取ったが、はたしてドイツ、日本相手にどの程度ゴールを決められるのか……。ヨーロッパ勢の中で、どこが復調して勝ち進み、どこが復調に失敗して消えていくのか。2戦目、3戦目の最大の興味である。