世界一になった当時のドイツ代表を思わせる今大会のイングランド代表【カタール現地ルポ“計25大会出場”ジャーナリストのW杯】の画像
変化を感じさせる今大会のイングランド代表 代表撮影:雑誌協会/松本輝一

  2人合わせて「ワールドカップ25大会」を取材した、ベテランジャーナリストの大住良之と後藤健生。2022年カタール大会でも現地取材を敢行している。古きを温め新しきを知る「サッカー賢者」の2人がカタール・ワールドカップをあらゆる角度から語る!

■ポジショナルプレーのお手本

 イングランドの試合はイラン戦もアメリカ戦もスタジアムで観戦したが、僕も非常に良い印象を受けた。

 メイソン・マウントが相手のDFとMFの間のスペースに入り込んでパスを引き出す動きとか、ジュード・ベリンガムがちょっとしたスペースを見つけてポジションを上げていくしたたかな動き。あるいは右SBキーラン・トリッピアーのポジション取りなどは、いわゆる「ポジショナルプレー」のお手本のようだ。

 一方、最前線のハリー・ケインのポストプレーも秀逸。敵に囲まれてもなんとか体を張ってボールを収めて時間を作って味方につなげるあたりはイングランド・フットボールにおけるセンターフォワードの伝統を引き継ぐもの。つまり、最先端の新しい流れを取り入れながら、伝統の臭いもしっかりと残しているのである。

 いずれにしても、これまでのイングランド代表のイメージと大きく変わったことは間違いない。

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