■「“決勝で会えたらいいね”と言われました」

 久保にとって、スペインは関係の深い相手である。バルセロナの下部組織時代のチームメイトのほか、ラ・リーガのクラブで戦ったかつての仲間もいる。

 それは、久保に話を聞いているときに、「タケー!」とスペイン代表の選手が話しかけてきたことにも表れていた。久保自身も、「(試合が)終わってから何人かと話をしました」と、お互いのチームのことや家族の話で旧交と温めたという。

 その中で久保がかけられた言葉が、決勝の舞台での“再会”だった。
「彼らは余裕があるので、“決勝で会えたらいいね”と言われましたけど、僕たちは余裕がないので、次のクロアチア戦に向けてしっかり準備してきたいと思います」

 顔を引き締めて次戦を見据えた久保だったが、「彼らも慢心していると今日みたいに足元をすくわれかねない」と、W杯の怖さを口にした。何が起きるか分からないことを、日本代表は、身をもって実感している。ドイツに劇的な勝利を収めたものの、コスタリカでボールを保持しながら敗戦。スペイン戦を前に、土壇場に追い込まれたからだ。

「次は前半で交代させられないように、前半のうちに出るチャンスがあれば、結果を残すしかない」
 負けん気の強さを口にした背番号11が、新しい景色へと日本を導く。

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