カタール・ワールドカップで、日本代表は初戦でドイツ代表相手に2-1の逆転勝利を収めた。一気に話題が沸騰しているが、この勝利にはさまざまな情報と意味が込められている。歓喜がもたらされた理由と今後への影響について、ベテランジャーナリストの大住良之と後藤健生が熱戦直後の現地で激論を交わした。
■見られなかった迷い
――森保一監督自身の変化が、今回の勝利には大きかったのでしょうか。
大住「おそらく森保監督だけじゃなくて、スタッフがグループとして徹底的にディスカッションして、あらゆる場合を想定して準備したのが完璧に活きたと思うんだよね。選手を代えていく段階で、迷いがなかった。長友佑都と酒井宏樹を下げてどうするのかなと思ったけど、三笘薫と伊東純也のウィングバックという恐ろしく攻撃的な形になっていた。逆転した時点で、まだ時間は十分にあるからどうするんだろうと思ったけど、形はそのままでも選手たちがちゃんと守備にシフトして、リスクを冒さず攻めていく格好にして、うまく試合をまとめていた。やはり、そういう準備・想定をしていた成果だと思うんだよね」
後藤「やったことのないような並びだったけど、選手たちは一瞬も迷いなく対応していたもんね。実際にトレーニングで試したかは分からないけど、少なくともこういう形になるということを選手たちは理解していたわけだよね」
大住「少なくとも、かなりミーティングで植え付けていたような気がする。皆でいろいろな形、状況を想定して、アイディアを絞り出して、森保監督がタイミングよく使ったということじゃないかな。選手がきちんと理解していた結果だよ」
後藤「この大会の他の試合を見ていても、選手交代の後で監督と選手がタッチラインのところで何か言い合っている場面をよく見かける。今回の日本の選手交代の時にはそういうことは一切なく、スッと入れていた。日本の準備は素晴らしかったね」