後藤健生の「蹴球放浪記」第136回「ワールドカップとチケット」の巻(1)観戦と宿泊に振り回されたスペイン・ワールドカップの画像
試合前日に広場で勝った西ドイツ大会決勝戦チケット 提供/後藤健生

 サッカーは時代とともに変化していく。競技だけではなく、取り巻く環境も変化していう。蹴球放浪家・後藤健生は、その荒波をかいくぐってワールドカップ取材を続けてきた。その過程では、驚くべき光景も目にしてきたのだ。

■航空会社でチケットを買った時代

 最近のワールドカップはいいですよねぇ。インターネットを通じて必要なチケットが自由に買えるようになりました。もちろん、人気カードではそう簡単に入手できないのでしょうが……。

 大昔にも、入場券が普通のイベントと同じように自由に買える時代はありました。

 僕が初めてワールドカップを観戦に行ったのは1974年の西ドイツ大会でしたが、この時は東京港区の虎ノ門にあるルフトハンザ・ドイツ航空の東京支店に行くと申込書が置いてあって、たとえば「ブラジル対ユーゴスラビア(開幕戦)のカテゴリー3を1枚」といったように記入するだけで簡単に購入できたのです。ルフトハンザ航空が代理店になっていたのです。そして、日本を出発する前に申し込んだ入場券はすべて届きました。

 各カテゴリーの中での個別の座席位置の指定はできませんでしたが、スタジアム毎の座席表も置いてありましたから、「ここのスタジアムはカテ2よりも、カテ3の方が見やすいだろうな」などと考えながら、申込書に記入していったものです。

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