■サッカー界に広がっていた風潮

 『チコちゃん~』でも紹介されたように、スローインに関して、現行のルールでは簡単に書くと3つの決まりがある。

<決まり1> ピッチに面して立つ。(後ろ向きに投げてはいけない)
<決まり2> 両足は、一部でも、タッチラインの上、あるいはタッチラインの外のグラウンドについていなければならない。(かかとでラインを踏んだまま投げ始めてもいいが、投げ終わる瞬間にそのかかとが浮き、ラインから離れてしまったら、反則になる)
<決まり3> ボールが出た地点から、両手で、ボールを頭の後方から頭上を通して投げる。(頭の真上にボールを持ち、そこから投げるのは反則)

 サッカーの常識として、ボールが出た地点から2、3メートルの前進は許容範囲ではないかと思われる(すべてはレフェリーの判断に任されているので、断言はできない)が、酒井選手のように5メートル、10メートルと違ってしまったら、誰もがおかしいと思うはずだ。

 こんなにシンプルな決まりなのに、違反が見逃されているのは、スローインから直接は得点できず、また、両手投げのために距離が制限されて、スローインが得点に直結する可能性も低かったために違いない。「まあ、大目に見ても大勢に影響はないだろう」というような風潮に違いない。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4