■人権問題に寄せられる批判

 さて、以上は11月開催に伴う問題点と期待だった。

 次に、「カタールでの開催」についての是非について考えてみたい。

 カタール開催に対する(とくにヨーロッパ諸国からの)批判は、カタールの人権状況を巡るものだった。中東産油国ではどこでもそうだが、単純労働は主としてインド亜大陸出身の労働者に委ねられており、彼らは過酷な労働条件の下で働かされており、労働災害で多くの労働者が命を落としていると伝えられていた(インド亜大陸諸国にとっては貴重な外貨源なので、各国政府も強く抗議できない)。

 そして、ワールドカップのスタジアムなど施設の建設工事でも、そうした労働災害が頻発しているとの報道もあった。

 こうした批判に関してはFIFAもかなり気を使っており、国際労働機関(ILO)も巻き込んで労働環境の改善がなされたということが宣伝されている。

 その他、性的少数者(LGBTQ)に対する差別なども含めて、人権擁護団体からのカタール大会に対する批判の声は根強い。

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