地理的メリットと人権問題がせめぎ合う中東開催【開幕直前に改めて考えるカタール・ワールドカップの問題点と利点】(3)の画像
何がフェアプレーなのか、ピッチ内外で考えられるべきだろう 写真:渡辺航滋

 カタール・ワールドカップ開幕まで、1週間を切った。世界中が楽しみにする大会だが、単なるお祭りで済ませてはいけない問題がある。開幕直前だからこそ知っておくべき問題点と利点を、サッカージャーナリスト・後藤健生が突く。

■好影響は表れるか

 もっとも、影響はネガティブなものばかりとは言えない。

 従来のように6月に開催される場合、多くの選手は長いシーズンを終えて疲労を蓄えた状態でワールドカップに臨んでいた。調整期間はあるとはいえ、疲労は拭い去れない。

 それに対して、11月開催であれば、2022-23年シーズンが開幕してから4か月ほどが経過した時期であり、疲労はそれほど蓄積していない。従って、負傷を抱える選手以外は、6月開催の場合よりも良い状態でプレーできる可能性もある。

 そうした理由でカタール大会の試合内容が良かったとしたら、将来的にも開催地によらず、10月とか11月に開催することが検討されてもよいかもしれない。もちろん、インターナショナルマッチのウィンドウを見直して、各国リーグ戦の中断期間をもう少し長くしてのことだが。

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