■産油国の目論見

 石油や天然ガスの産出国として豊富な外貨収入を有するカタールは世界有数の豊かな国である。1971年にイギリスから独立。形式的には立憲君主制だが、実質的には首長であるサーニー家が権力と富を独占している。

 中東産油国は、遠い将来資源が枯渇したり、あるいは代替資源が開発された時のことを考えている。原油価格を高値で安定させるために生産調整を行うのはこのためだ。また、たとえばドバイのように商業や金融業で生きていくための都市建設を行ったり、ヨーロッパ、アジア、アフリカからの地理的近接性を利用してハブ空港を設けて航空業界を発展させたりしている。エミレーツ航空やカタール航空、エティハド航空などがその例だ。

 そして、カタールは国の生き残りのためにスポーツに力を入れ、2019年には世界陸上(世界陸上競技選手権大会)、2022年にサッカーのワールドカップを開催し、そしていずれはオリンピックの招致も画策している。

(2)へ続く
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