後に、さらに商業化を推し進める方向に変化したUEFAによる圧力で会長の座を追われたのが事実だとしても、ブラッター自身がサッカーというスポーツの商業化に大きな責任を追っているのは間違いない。

 ワールドカップのカタール開催、あるいはそれにともなう11月開催については開催国決定以来、疑問や批判の声が後を絶たない。せっかくブラッター前会長が話を蒸し返してくれたのだから、ここで問題点を整理しておこう。大会後にカタール大会を評価し直すためにも必要な作業である。

■疑われていた汚い資金の流れ

 まず初めに2022年大会開催国としてカタールが選ばれた経緯について振り返っておこう。

 2018年大会と2022年大会の開催地は2010年12月に開かれたFIFA理事会で、資格停止中の人物を除く22人の理事の投票によって同時に決定された。調整の結果2018年はヨーロッパ大陸、2022年はそれ以外の大陸で開催されることとなった。

 2014年大会にはイングランド、スペイン・ポルトガル(共同)、オランダ・ベルギー(共同)が立候補しており、当然、サッカー伝統国であるイングランドやスペインは施設面などで高い評価を受けていた。

 2022年大会には2002年大会を共同開催という形で開催した日本と韓国。そして、サッカー新興国のオーストラリア。そして、アメリカ合衆国が立候補した。

 理事会の決定の前にFIFA視察団が候補国を訪れて評価が行われたが、2018年大会の候補国の中ではロシアが最下位、2022年大会候補国の中ではカタールが最下位の評価となっていた。

 権威主義的国家であり、また資源大国であるロシアとカタールは政治指導者を筆頭に国を挙げて招致に力を入れており、「汚い資金の流れがあるのではないか」と当初から言われていた。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4