■クラウドファンディングが町野の成長につながった
そういって眞壁は、昨秋以降のクラウドファンディングに触れた。新型コロナウイルスまん延の長期化を受けて、2021年秋と22年シーズン開幕前に支援を募った。2億円を超える浄財はクラブ運営と強化費に充てられ、それが町野の成長にもつながったという。
「今シーズンの後半に町野が伸びていったのですが、夏の補強で阿部浩之と中野嘉大を獲った。今年の春のクラウドファンディングで1億円集まらなかったら、あの補強はできなかった。合計で2億円のクラウドファンディングで収支を何とか整えて、夏の補強で彼らふたりを獲ることができたんです」
名古屋グランパスから加入した阿部は、シュートテクニックに定評がある。ストライカーの町野にとって、格好の教材となっただろう。ドリブルのテンポに独特なものがある中野のプレーも、参考になるところは大いにあったはずだ。
「12位でJ1に残れたのは、支援者の力が大きかった。クラウドファンディングによる2億円があるのとないのでは、獲れる選手が違ってくるので。それでなくてもビッグクラブの何分の一かの強化費でやっているので、その部分をたくさんの人が少しずつ助けてくれました」
Jリーグが公開している2021年の決算一覧を見ると、J1の18クラブでチーム人件費がもっとも高いのは、ヴィッセル神戸の50億5200万円となっている。神戸に続くのは川崎フロンターレの36億3000万円で、柏レイソル、浦和、名古屋も30億円を超える。ベルマーレはと言うと、リーグで3番目に少ない。
「私たちのクラブでは、みなさんからいただいた1万円が、直接的に選手のためになっていきます。その意味で、町野はサポーターとスポンサーがW杯に送り込んだ選手と言えるのでは。一義的にはクラブを潰さないというのがあるけれど、オレたちがW杯でプレーするような選手を出すんだ、という気概に支えられています」