指揮官の手腕が光ったサンフレッチェ広島とFC東京、補強が鍵になる鹿島アントラーズとセレッソ大阪【2022年のJ1リーグを振り返る】(3)の画像
FC東京は来季の台風の目になる可能性がある 撮影:原壮史

 ワールドカップが11月に開催されるため、通常とは異なる日程となった2022年のJ1リーグが幕を閉じた。最終節までタイトルレースが展開されたが、そこに至るまでの道のりにも見るべきものはあった。サッカージャーナリスト・後藤健生が、今シーズンのJ1を振り返る。

■指揮官の手腕が光った広島

 今シーズン、横浜FM、川崎を追ったのは最終的に3位に入ったサンフレッチェ広島だった。広島はリーグ戦で3位に入り、天皇杯全日本選手権大会では準優勝、そしてYBCルヴァンカップで初めての優勝を遂げた。

 ドイツで強豪クラブの指揮を執り、代表でもアシスタントコーチを務めたミヒャエル・スキッベ監督の下で、集団的サッカーを持ち味とする広島の伝統を生かしながら、スペースを利用してパスをつなぎながら圧力をかけていく攻撃的なサッカーを作り上げてきた。

 選手層がそれほど厚いとも言えないチームながら、リーグ戦と2つのカップ戦でフルに戦い、夏場でも運動量を落とすことなく連勝を飾ることができたのは、スキッベ監督のマネジメント能力のおかげということになる。

 来シーズンも、さらに完成度を上げていけば、横浜FM、川崎と優勝争いができるチームとなるかもしれない。ただ、リーグ優勝を実現するためには、やはりもう少し“選手層の厚み”もほしいところだ。

 リーグ戦序盤こそ躓いたものの、岩政大樹監督就任後は守備を立て直して4位まで順位を上げてきたのが鹿島アントラーズだ。リーグ戦の前半、得点王争いでトップを走っていた上田綺世が海外移籍で抜けたこともあって、攻撃力には限界があったが、それでも4位に入った勝負強さはさすがに鹿島。攻撃の軸になるような選手を補強すれば、久しぶりのタイトルを狙えるかもしれない。

 また、5位に入ったセレッソ大阪も、このところ数年にわたって安定した戦いを見せており、やはり攻撃の軸となるような選手の補強ができれば、さらに上を目指せる可能性がある。

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