■単なる「失われた30年」なのか
そんな「失われた30年」でしたが、この間に日本のスポーツは世界の中で存在感が上がっているのではないでしょうか。
野茂英雄がメジャーリーグのロサンゼルス・ドジャースに入団して活躍を始めたのがバブル崩壊直後の1995年。その5年後にはイチローも海を渡り、シアトル・マリナーズで数々の大記録を樹立して、日本人が打者としてもメジャーリーグ(MLB)で通用することを証明。大谷翔平(アナハイム・エンジェルス)に至っては、2年連続でMVPに選ばれるかもしれない“世界のトップ選手”の一人になりました。
30年前、パワーがモノをいうベースボールというスポーツで日本人がMLBで通用するとは誰も思っていなかったのです。
明治の初めに近代スポーツが日本に入ってきてから150年間、日本のスポーツ界は常に「欧米人に比べてフィジカルで劣る」という劣等感を持ちながら活動してきましたが、大谷の活躍を見れば「日本人がフィジカルで劣る」などと誰も思わないでしょう。