後藤健生の「蹴球放浪記」第134回「エクアドルの家具屋のトラックに漢字で“家具”と書いてあった」の巻(1)「失われた30年」にも存在感を増したアスリートたちの画像
エクアドル国内の全試合に入場できる取材許可証 提供/後藤健生

 世界を巡ると、驚くものを目にすることは少なくない。蹴球放浪家・後藤健生も、多くのサプライズを目撃してきた。だがそれも、日本と世界のつながりを確認できる貴重な機会なのだ。

■バブルが崩壊した日本

 最近になってロシア向けの中古車輸出が増えているというニュースを聞いたことがあります。ウクライナ侵略によって西側から厳しい経済制裁を課せられたものの、資源価格の上昇によってロシアのルーブルは値上がりしており、逆に日本が極端な円安に見舞われたためロシア人にとって日本製中古車が安く手に入るようになったのです。

 そして、その背景には日本車に対する人気が衰えていないという事実があります。

「失われた30年」とよく言われます。バブル崩壊以降の30年間、日本は産業構造の転換が進まずに生産性が悪化。物価も賃金も上がらない閉塞状況が続いてきました。

 この間に、かつて「世界第2の経済大国」だった日本は、中堅国の1つになってしまいました。また、世界をリードしていた半導体産業などでも、その地位を失ってしまいます。

 もちろん、高度成長を追い求める社会が健全なものだとも思いません。人口が減少し、経済が低成長のままでも、日本が明治以降の150年間に蓄えてきた富を有効に活用して、人々が暮らしやすい社会を築いていくことは可能なはずです。そうした低成長社会に切り替わっていければ、まだ蓄積が十分ではないまま人口減少や低成長時代を迎える中国や韓国よりも、よっぽど質のいい生活を追求できるはずです。

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