22日にルヴァンカップ決勝に臨むサンフレッチェ広島の、試合前日のトレーニング動画が公開された。タイトル獲得へ胸が高鳴るが、ファンが胸を熱くしたのは、冒頭に映し出された、わずか3秒の場面だった。
広島は22日に、セレッソ大阪とルヴァンカップ決勝を戦う。広島はこのリーグカップのファイナルに2010年、2014年の2度出場しているが、いずれも敗退。「三度目の正直」となる今回、初優勝を狙いにいく。
加えて、今季はすでに「大一番」で手痛い敗戦を喫している。今回のファイナルの5日前となる16日、天皇杯決勝で賜杯が手のひらからこぼれているのだ。J2のヴァンフォーレ甲府にPK戦の末に敗れ、タイトルを取り逃している。広島にとっては、ルヴァンカップを獲らなければならない理由がひとつ増えたわけだ。
この多くのものが懸かった一戦に向け、Jリーグはツイッター公式アカウントで広島の前日練習の様子を公開した。選手たちが試合会場となる国立競技場のピッチに足を踏み入れる引き締まった面持ちや、笑顔を交えながら体を動かす様子が伝えられている。視聴するファンにとっても、選手とともに気持ちが盛り上がる動画だ。
だが、ファン・サポーターが反応したのは、冒頭のワンシーンだった。動画は、カメラがとらえたピッチ脇にあるベンチから始まる。ぼんやりと映っている画像は、徐々にピントが合っていく。そうして映し出されたのは、2つのユニフォーム。それぞれ「9」と「50」の背番号がプリントされており、その下には同じ名前がある。記されているのは「KUDO」の4文字。わずか3秒で、シーンはうつり変わっていった。
ベンチにかけられたユニフォームは、かつて広島でプレーした工藤壮人のものだった。工藤は広島での初年度は50番、翌2018年には9番を背負ってプレーした。
工藤が現在所属するJ3のテゲバジャーロ宮崎から、ショッキングなニュースが発表されたのは今月18日のことだった。体調不良を訴えた工藤は水頭症と診断されて手術を受けていたが、容体が悪化して17日には集中治療室にて治療が行われていることが明かされた。