■バスの運転手の大胆な行動
6月29日の決勝戦の時も僕はタスケーニャ駅からバスに乗ってスタジアムに向かっていました。相変わらずの大渋滞でバスの中は焦燥感と不満が爆発しそうになってきました。
すると、突然、運転手が大胆な行動に出たのです。
バスは左車線に出て(メキシコは右側通行)逆走を始めたのです。スタジアムに向かう南行きは大渋滞ですが、反対車線の北行きはガラガラですから、バスは渋滞にはまっている車を追い越してスイスイとスタジアムに向かいます。
北行き車線は渋滞してはいませんが、もちろん車はやって来ます。すると、運転手はその車を巧みなハンドル操作でまるでイングランド戦のディエゴ・マラドーナのようにかわしながら、バスはあっと言う間にスタジアムに到着したのです。
すると、満員の乗客は運転手に対して称賛のチャントを叫び始めました。
チキッティブン、アラ、ビンボンバ
チキッティブン、アラ、ビンボンバ
アラビオ、アラバオ、アラビンボンバ
チョフェル、チョフェル、ラ、ラ、ラ
チョフェル(chofer)というのは、スペイン語で「運転手」という意味です。