蹴球放浪家・後藤健生たるもの、取材が一筋縄ではいかないことは百も承知だ。時には、スタジアムに至る道中でもアクシデントは起こり得る。1986年のメキシコ・ワールドカップの経験は、今年開催されるカタール大会での苦難も楽しい思い出に変えてくれるかもしれないと思わせてくれるのだ。
■カタールW杯の懸念
カタール・ワールドカップ開幕まであと1か月を切りました。
観戦のために現地に向かう人たちにとって最大の問題が宿泊料の高騰ではないでしょうか? 僕がドーハでいつも泊まるホテルは宿泊料が5~6000円くらいなのですが、今は6万円近くになっています。
普通ならロシアとかブラジルといった1つの国で行う大会を、ドーハというたった1つの都市(制度的にはアルラヤン、アルワクラといった周辺都市を含みます)で開催するのですから、無理が生じるのは当然です。
開幕後は交通渋滞が思いやられます。
ドーハ市に数十万人の外国人がやって来て市内を右往左往するわけです。大会に合わせて地下鉄(メトロ)が建設されたのでほとんどのスタジアムがメトロで移動可能なのですが、メトロの運送能力には限界があります。