■ルール改正を促したイタリアW杯

 ワールドカップでは、1990年のイタリア大会の52試合で生まれた得点がわずか115点(1試合平均2.212点)と、それまでの全14回のワールドカップの最少記録となり、主催する国際サッカー連盟(FIFA)に強い危機感をもたせた。2人交代制から3人交代制への変更、GKがバックパスを手で扱うことの禁止、勝利に3点を与える勝ち点制度の変更、オフサイドルール解釈の変更など、重要なルール改正が1990年代前半に集中しているのは、その結果である。

「ゴール」はサッカーの試合で最も重要なものだ。ゴール数で勝敗が決まるからではない。サッカーのすべての攻撃プレーがゴールを決める目的で行われ、そしてすべての守備プレーがゴールを守るために行われる。どの選手も、どのプレーも「ゴール」にかけられているからだ。

 もちろん、ファンの最大のお目当てもゴールである。見応え十分の「スコアレスドロー」もないわけではないが、サッカー観戦で最も心がときめくのは、もちろん、ゴールが決まった瞬間だ。そのゴールを見られるかどうかがサッカー観戦の満足度に大きく影響するのは、あまりに当然と言わなければならない。

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