大住良之の「この世界のコーナーエリアから」第99回「GKが止めるのか、グローブが止めるのか」(1)「発明品」がお披露目された1974年ワールドカップの画像
発明品をお披露目した1974年W杯のマイヤー 写真:アフロ

 サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。サッカージャーナリスト・大住良之による、重箱の隅をつつくような「超マニアックコラム」。今回は、「天狗のうちわ?」

■懐かしい光景

 先日、1990年代の欧州の雑誌をペラペラとめくっていたら、「なつかしい光景」に出くわした。シーズン前に撮影したチーム写真。最後列の中央に、他のプレーヤーたちとは違う色のユニホームを着た3人のGKがいる。他のプレーヤーたちが腕を後ろに組んで胸のスポンサー名をはっきりと見せているの対し、この3人だけは両腕を体の前で交差し、両手の指をじゃんけんの「パー」のように開いて、カメラには手の甲を向けるという奇妙なポーズを取っているのである。

 その手は異常に大きく、まるで「天狗のうちわ」のようだ。もちろん、彼らの手がこんなに大きいわけがない。大きいのは、GK用のグローブである。そして彼らは、グローブのメーカーのロゴがはっきりと写真に写るようにしているのだ。

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