■「ファンじゃなくてサポーターだろ?」

 冷たい雨が降りしきる中で、選手は「サポーターズシート」の前で一列になって話を聞いていた中で、岩政監督は「先に選手を帰させてくれ」「選手はまだやらなければいけないことがある」と説得し、選手がスタジアム内に。土居も、一部サポーターとグータッチをしてその場を去った。その後、サポーターと岩政監督が対峙することとなった。

 サポーターからは、天皇杯準決勝で負けたこと、そして、監督交代後に成績が芳しくないことが主に投げかけられた。それに対し岩政監督は「簡単に変わるもんじゃないよ。俺たちが失ったものはたくさんあるよ。取り返すのに時間がかかるよ。みんなでやらないのか⁉」と大声で共闘を呼び掛けた。

 それでもブーイングは鳴りやまず、「勝ったときだけみんななのか⁉ 負けたら俺らだけかよ!?」と反論。また、「ファンじゃなくてサポーターだろ? サポートするのがサポーターだろ?」「覚悟がなかったらサポーターやめろよ」「負けたのはみんな一緒だろ」と、サポーター、選手、スタッフのチーム全体が一体となっての前進を説いた。時に、スタッフに制止されるほどの熱量で、気持ちをぶつけた。

 鹿島は天皇杯で敗退したことで、今季の無冠が決定。そのため、6年連続で国内タイトルを逃したことになる。2000年に国内3冠を果たすなど、常勝軍団の名を欲しいままにしたクラブは、苦しい時間を過ごしている。

PHOTO GALLERY ■【画像】手すりを乗り越えるサポーター、スタッフに制止される岩政監督、選手とサポーターのグータッチ……「荒れた甲府戦後の決定的瞬間」■
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