WEリーグの新シーズンが始まる。リーグ戦開幕に先駆けて、すでにリーグカップも決勝までが行われた。WEリーグ創立から1年が経った現在、見えてきた日本女子サッカーの現在地をサッカージャーナリスト・後藤健生がつづる。
■海外へ旅立つ選手たち
さて、日テレ・東京ヴェルディベレーザからは昨シーズン終了後に清水梨紗がウェストハムに移籍したことはすでに紹介した。日本代表多数を輩出するベレーザからは、数多くの選手が海外に移籍している。日本代表の攻撃を引っ張る存在である長谷川唯(マンチェスターシティWFC)や遠藤純(エンジェルシティFC/アメリカ)もそうだし、岩渕真奈(アーセナル・ウィメンFC)ももともとはベレーザに所属していた選手だ。
そのほかにも、ここ数年で数多くの若い選手たちがアメリカやヨーロッパのクラブに渡っていった。
「女子サッカーのプロ化」が話題なり始めたころには「海外の一流選手も新リーグ(WEリーグ)にやって来るのではないか」といった楽観的な期待もあった。
日本女子サッカーリーグが「Lリーグ」の愛称を使用し始めた1990年代には、世界に先駆けてプロ契約をする選手も誕生し、Lリーグに世界のトップクラスの選手が集まった時代もあった。
しかし、実際にプロ化が実現してWEリーグが開幕した2020年代になると、海外での女子サッカーの人気拡大が大きく進んでいた。2022年の女子EURO決勝には8万1792人もの観客がウェンブリー・スタジアムに集まり、各国のリーグ戦でも女子チャンピオンズリーグ決勝のバルセロナ対ヴォルフスブルグ戦ではカンプノウが9万1553人の観客で埋まった。つい先日にはイングランドのスーパーリーグの「ノースロンドン・ダービー」アーセナル対トッテナム戦で4万7367人のリーグ観客動員記録を樹立したという。