■脳にかかるストレスを減らす

――なるほど。

片山 いま考えているのは、映像とカタパルト・データの統合です。時間をリンクさせて「能動的アクション」と「受動的アクション」のデータを見てみたのですが、興味深いことがわかりました。「能動的アクション」とは自分たちがボールを保持しているときの動きです。ボール保持者にパスを要求しているときの動きのスピードとか、どこに動いているかとか、そうした動きのなかでトップスピードになれているかとか…。「受動的アクション」というのは、逆に相手がボールをもち、それに対応して動かなければならないときです。

――データに違いがあるのですか。

片山 わずかですが、回復値が違うのです。おそらく、能動的に動いているときには心地よく動いているので脳にかかるストレスがあまりない。それに対し受動的なときには、相手の動きを見ながら動きを変えなければならないので、ストレスが高い。それで疲労度が高くなるのではないかと思います。

――興味深い話ですね。

片山 それを試合の状況に落とし込んでみると、強い相手と対戦したとき、ずっと引いて守っていたほうがいいかというと、意外にもそうではない。前線からプレスに行く時間をつくってみたり、15分間だけ攻撃的な形に変えるなど、90分間のなかで使い分けていったほうが脳にかかるストレスが減り、最後まで集中力を保てるのではないか。そういう戦略も考えられるのではないかと思っています。

(3)へ続く
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