サッカーはどんどん、科学的になっている。もはや、切り離せない関係であると言っていい。日本でもデータを活かした指導をしているのが、片山博義さんだ。サイエンスとサッカーの関係について、サッカージャーナリスト・大住良之が話を聞いた。
■データはオープンにすべき
片山博義さん(49)は異色の指導者だ。ドイツの3部リーグでプレーし、指導者となってUEFA(欧州サッカー連盟)のBライセンスを取得。最近10年間は、主として日本国内の大学やJリーグ入りを目指すチームを指導してきた。このコラムでは、2020年に「日本サッカーの陥穽」と題し、いまの日本のサッカーに欠けている要素を考え、2021年には東京オリンピックを受けて「なでしこジャパンとWEリーグが目指すべきもの」の話を聞いた。
片山さんの話を聞いていて、いつも思うのは、「何も隠さない」ということだ。指導者にとって大事な「秘訣」や新規のアイデアを、片山さんは包み隠さず話してくれる。
「とどまるということをしてはならないと、いつも自分に言い聞かせているんです。昨日やったことが正しかったから、きょうもそれをやるというのではなく、昨日やったものをさらに良くするためにどうしたらいいか、それを常に考えています」
今回のインタビューのなかで、片山さんはこんな話をした。近年、トップチームはどこも「データ」をとってさまざまなことを分析しているが、そのデータや分析結果は完全部外秘だ。しかし片山さんは「すべてオープンにすべきだ」と語る。それが選手の「成長記録」となり、日本のサッカーの財産となっていくというのだ。
今回は、データや映像分析など、「サイエンス化」が進むサッカーの話―。