■GPSの活用も

――それがサッカーにも使われるようになったのですね。

片山 はい。いまでは、Jリーグだけでなく、世界の多くのプロチームが活用しています。バイエルン・ミュンヘンチェルシーレアル・マドリードなどのチーム使っています。

――どのような機能があるのですか。

片山 基本的には、ハートレイトモニター(心拍計)と衛星利用測位システム(GPS)機能です。装置をつけた選手の体の状態や位置情報を、指導者のモニターにほぼリアルタイムに送られてきます。

――それをどう生かすのですか。

片山 心拍数とは、体の隅々に酸素を送るために心臓が1分間に何回鼓動しているかということです。この数値が上がりっぱなしになると、パフォーマンスは極端に落ちます。脳が消費する酸素の運搬が間に合わず、体をコントロールできなくなるからです。もちろん、サッカーのなかには、1対1とか、カンターアタックなど、脳に十分に酸素がいかない状態でもしなければならないプレーもあります。しかし基本的には、酸素がしっかり回った状態でしかできないプレー、たとえばビルドアップのパス回しなどですが、そうした練習には、しっかりと休息を取りながらやっていくことになります。

――ハートレイトモニターから、それをどう判断するのですか。

片山 心拍数の回復値に注目します。通常の呼吸ができる少し手前ぐらいまで心拍数が回復すると、百パーセントの力を出すことができるようになります。

――回復値に達するまでの時間には、当然個人差がありますよね。

片山 そのとおりです。だからまず個々の選手の能力を知ることが大切になります。トレーニングの場からデータを取っていくことが必要なのです。そして試合のなかでは、疲労の蓄積とともに、当然、回復時間が長くなっていきますから、その初期値とのギャップが大きくなれば交代の目安にもなります。

――GPSはどう使われるのですか。

片山 ひとつは選手の移動速度です。走る速さは、当然、選手個々で違うのですが、基本的に「時速30キロ」を「最大速度」とし、そこに何秒間で到達しているか、また、その最大速度を何秒間維持できるのかということを見ます。

――「カタパルト」で、「回復時間」や「最大速度到達時間」、「最大速度維持時間」などが表示される設定になっているのですか。

片山 そうではありません。心拍数や位置情報に基づく移動スピードのデータから、自分でこうしたものを考え、「カタパルト」の製作アドバイザーの方とお話しをして、入れさせてもらっています。Jリーグのクラブも多くが使っていますが、チームによって入れている内容が違うのではないでしょうか。

(2)へ続く
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