■アジアの多様性を学ぶ
マレーシアにはマレー人、中国系の華僑、そしてタミール人などインドからやってきた人たちが住んでいますが、最大の民族であるマレー人はその多くがイスラーム教徒です。
実は、僕にとってイスラーム国家を訪れるのはこの時が初めてでした。それで「イスラームの国って、どんなところなんだろうか?」と興味津々だったのです。だから、到着前にイスラームのシンボルのような三日月と星を見た偶然をとても嬉しく感じたというわけです。
クアラルンプールでは、いくつかのモスクを訪れました。また、中国人が通う仏教や道教の寺院、そしてインド人のためのヒンズー教寺院なども見学して、アジアという大陸の宗教的な多様性の一端に触れたような気がしました。初めてのイスラーム体験はとても新鮮でした。
もっとも、その後、1990年代以降には日本代表の遠征に合わせて中東諸国に何度も通うようになりました。聖地マッカやマディナがある本家本元のサウジアラビアにも行きましたし、かつてのイスラーム文化の中心地シリアのダマスカスも訪れました。それで、今ではイスラーム社会にもすっかり慣れて、珍しさなどまったく感じなくなってしまいました。