J1の優勝争いの構図が、ようやくはっきり見えてきた。昨季王者の川崎フロンターレと、3シーズンぶりのタイトル奪還を狙う横浜F・マリノスによる一騎打ちだ。先週末のJ1第28節は優勝争いの鍵となる戦いとなった。9月上旬にもタイトルの行方を左右する試合が待つ。マッチレースとなる可能性が高い優勝争いを、サッカージャーナリスト・後藤健生が読み解く。
■難しかったチームマネジメント
ACLでは8月18日のラウンド16の戦いでヴィッセル神戸に敗れた横浜F・マリノスは、本来なら予定されていたACLの残りの2試合(準々決勝と準決勝)のスケジュールがキャンセルとなったため、ゲームがない状態がずっと続いてしまったのだ。
「ゲームがない状態」というのはフィジカル面だけを考えれば、貴重な休養となったかもしれない。代表での疲労の蓄積をここでリセットすることができたはずだ。
だが、よもやの4連敗を喫した状態でゲームがない状態が続くというのは、メンタル面では問題となる。ゲームがあれば、内容のあるゲームをして、勝利することによって連敗によって落ち込んだ心理状態を立て直せるが、連敗の後にゲームがないと、連敗中という状況を引きずったまま重圧がかかった状態で長い時間を過ごさなければならないのだ。
そして、もちろん、公式戦を離れることによって選手たちのゲーム勘、微妙なコンビネーションも失われてしまう。
FC東京と引き分けに終わった後の記者会見でも、ケヴィン・マスカット監督は「ずっと過密日程で選手をやり繰りして戦ってきたのに、突然、それまでとはまったく違ったスケジュールになった」と、チームマネジメントの難しさを口にしていた。