■なぜ潰さなかったのか、その理由
そういうチームであるから、1つのミスがもたらす影響は大きくなる。ネルシーニョ監督は「今日の敗因は、60%が相手のクオリティー。40%は私たち自身のミスによるもの」と試合を評した。そこには決定的なパスミスやボールロストだけでなく、判断ミスも含まれる。大南は「全体的にもっと前のほうで潰せるときに潰さないと」と反省点を挙げた。1点差にしながらもことごとく突き放されてしまったのは、アダイウトンを中心とした東京のカウンターを止めることができなかったからだ。ゴールに近づかれる前に潰して止める、ということがなく、並走状態でも飛び込まずに下がっていく守備の仕方で前進を許し、フィニッシュまで到達された。
なぜ潰さなかったのか、となると、相手(アダイウトン)の方が個で上回っていたからだ。ほぼマンマーク気味になる、という守備での被カウンターにおいて、飛び込んで失敗すれば一巻の終わり。「(前の方で潰さないと)ああやって、前に強烈な選手がいるときにやられてしまう」(大南)が、個で上回る相手に対してそのチャレンジを行うのは非常に難しい。この部分も、個で上回る相手にどう対応するか、という部分が未解決であることを感じさせる。
これは、立ち位置を変えながらボールを保持し、全体で自分たちの形を作りながらピンポイントでは個で勝負してくる、という近年のトレンドの要素にどう対抗するか、という見方もできる。組織としての完成度の高さと高い修正力で勝ち点を積み重ねてきた柏は、その強みを揺るがされた時のこの問題をどう解決するだろうか。ここをクリアすれば、3位よりも上に行くことができそうだ。
■試合結果
柏レイソル 3―6 FC東京
■得点
40分 松木玖生(東京)
45分 バングーナガンデ佳史扶(東京)
54分 ドッジ(柏)
57分 安部柊斗(東京)
62分 ドウグラス(柏)
68分 アダイウトン(東京)
74分 大南拓磨(柏)
84分 ルイス・フェリッピ(東京)
89分 アダイウトン(東京)