後藤健生の「蹴球放浪記」第125回「南仏プロヴァンスで出会った驚きのホヤ」の巻(2)ブイヤベースの鍋の中での驚きの「再会」の画像
トゥーロン国際トーナメントのADカード 提供/後藤健生

 蹴球放浪家・後藤健生は、世界中を取材で駆け巡る。取材の対象は、サッカーだけにとどまらない。食事を含めた文化面もフィールドワークの対象とする。調査を進めると、日本もフランスも、ある食材でつながっていることが判明した。

■釜山で韓国のホヤをいただく

 韓国でも、ホヤがよく食べられます。三陸のホヤも韓国に輸出されていたのですが、福島原発の事故以降、韓国は輸入を禁止しています。

 2019年の12月にEAFF E-1選手権が韓国の釜山(プサン)で開催されました。

 新型コロナウイルスのパンデミックが始まる直前のことです。僕は、ぶらぶらと街を歩き回っていました。釜山は何度も行ったことがありましたが、影島(ヨンド)には行ったことがなかったのでバスに乗って行ってみました。釜山の港の南側にある大きな島で、橋で本土とつながっており、今では完全に市街地化しています。

 その最南端に太宗台(テジョデ)公園があります。玄界灘に面した岬の先端からは「天気が良ければ長崎県の対馬が見える」と言われています。

 実際、僕が太宗台を訪れた日は幸いにも快晴。本当に対馬がくっきりと見えました。

 その展望台の下の崖に階段が造られています。海辺の岩場まで降りることができるのです。岩場にはオバサンたちが何人もいて魚介類をさばいて商売をしています。その名物がホヤなのです。

 そこで、僕もさっそくホヤのサシミを注文。韓国焼酎のボトルも買って、岩場にしつらえてあるテーブルに座って、ボーッと目の前の海を見ながらホヤをつつきました。12月とはいえ、午後の太陽が温かく感じられました。

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