■スウェーデン人との人生初の国際試合

 だがもちろん、何よりもサッカーだ。最初の4試合はややがっかりする内容だったが、その間にも心に残る「サッカー」はあった。

 大会3日目に、デュッセッルドルフで「ブルガリア×スウェーデン」を見た。当時のデュッセルドルフのスタジアムは、現在の「アレーナ」ではない。同じ場所にあった陸上競技型の「ラインスタジアム」である。この日は土曜日で、キックオフは16時。6月のドイツは夜10時ごろまで明るい。0-0で試合が終わった18時には、まだ真昼のような明るさだった。試合後、私とYさんは、私の大学時代のサッカーの友人2人とスタジアム外で会った。彼らは「バックパック」でワールドカップ観戦にきていたのだ。

 見ると、スタジアム周囲の広大な芝生の一角で、3人のスウェーデンサポーターがボールをけっている。女性のYさんを除けば私たちも3人。さっそく試合を申し込んだ。もちろんOKである。相手は黄色いユニホームに身を包んだ大男3人。最初はちょっとびびった。しかしプレーが始まると、私たちの動きとスピードが彼らを圧倒した。

 実は彼ら3人は試合中にビールを飲み続けた結果、泥酔状態だったのだ。私たちは次々とゴールを挙げ、10-3で大勝した。私にとって初めての「国際試合」だった。スウェーデンの酔っぱらいサポーターたちは劣勢を挽回しようと熱くなったが、晴れていた空が突然かき曇り、激しい雨が降ってきてそれ以上試合を続けられなくなったときには、ほっとした表情を浮かべた。

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