サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。サッカージャーナリスト・大住良之による重箱の隅をつつくような「超マニアックコラム」。今回は「チーム役員、交代要員および交代して退いた競技者の座席」―。
■移動式ベンチの値段は?
そう、現在では、できるだけ観客のじゃまにならず、ピッチの高さから試合を見ることができる透明なボードを用いた移動式のチームベンチが広く世界に普及している。陸上競技型のスタジアムではベンチをトラックの上に置くので、下にトラックを保護する人口芝などを敷き、その上にこうしたベンチを設置する。
ではこうした移動式のチームベンチはいったいいくらぐらいするのか? スポーツや公園の施設・用具を扱っている(株)津村製作所のホームページを見ると、Jリーグクラスまではいかないが、観客を入れて行う試合で使う移動式のチームベンチ(16人用)は税抜で1チーム分が480万円。3人用の「審判ベンチ」は150万円だから、合計1110万円。消費税を加えると、1221万円にもなる。
一方、プロが使うスタジアムで使われているチームベンチは、椅子がどんどん豪華になっている。先陣を切ったのは高級スポーツカーのシートとして知られるドイツの「レカロ」である。腰の痛みに悩んでいたフリーデル・ラウシュ監督はベンチに座らず、自動車から外したシートを持ち込んで座っていた。それを見た「レカロ」社が、カイザースラウテルンの真っ赤なシートにクラブエンブレムを入れた「レカロ」のチームベンチを提案、1995年に設置されたのが始まりだった。