0-0の58分、清水の右サイドバックの原輝綺が松木玖生を振り切って深い位置からクロスを入れる。
東京のセンターバックは、森重真人が低いボールの場合への対応でニアに立ち、ターゲットになる確率が最も高いであろうセンターフォワードのチアゴ・サンタナに木本恭生がついた。
しかし、ボールはそこを越えていった。東京は、右サイドバックの長友佑都がセンターバックの奥をケアしていたが、その後ろから駆け込んで来たのはカルリーニョス・ジュニオ。長友よりも僅かに早く、かつ助走の勢いがあった分だけ長友よりも高くジャンプした清水の背番号10は、叩きつける完璧なヘディングで名手ヤクブ・スウォビィクの反応速度を上回った。
均衡を破るゴールを決めたカルリーニョスは、跪いて指を天に向け、多くの南米の選手がゴール後にそうするように神へ感謝を伝えた。
すぐに、ヤゴ・ピカチュウやサンタナらが満面の笑みで駆け寄ってきたが、カルリーニョスはしばらく空を見上げていた。